白昼夢で踊る犬

本書に一切真実はない。全ては真っ赤な嘘である。

「喋る落書き」ショートショート。

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学校が授業中の静かな廊下を今の時間使われていない音楽室に向かってそっと歩いていた。

静かに扉を開け、忍び込む。

そして彼女は慣れた手つきでレコードを取り出しそっと置いた。

グールドの演奏するバッハは空気を柔らかく震わせた。

1955年版ゴルドベルクが彼女のお気に入りだった。

その躍動的なリズムを指でトントンととりながら机の落書きにふと目をやる。

そこには「PEACE」と書き殴られていた。

その乱暴な文字を彼女はそっと撫でる。

そして机に突っ伏し落書きに耳を当てた。

誰かが遠くから喋っていてそれはバッハの多声部の一部となり絡み合った。

その声は彼女をとても孤独にさせたので全ての旋律を隅から隅まで聴き取ろうと耳を澄ませた。

彼女はひとりぼっちでいてもいい教室を愛した。

彼ら、彼女らはみな統制された教室でなんでもない言葉を机に向けて語りかけ、その声は浮かび上がり、音楽と同じように震えたあと消えていった。

補足

これは6次元カフェで行われたショートショート講座で作ったものです。

表紙描いたり(これ10分位だしつけペン持ってこなかったので手持ちのサインペンなのでクォリティの低さは突っ込まないでー!)豆本にするのに原稿用紙ペタペタ貼ったりした時間も含めてたので文章は書き始めてからは30分くらいでのものなので推敲時間は殆どないのですが良い点悪い点があったら是非教えて下さいませー。